パーソナルソング

毎月第4日曜日は当協会の講師が集まり、様々なテーマで研究会が行われています。2月は事例発表、今回は高齢者施設からの発表がありました。

事例:「特別養護老人ホームS苑での療育音楽・音楽療法のセッション

消極的参加者への積極的参加へのアプローチ~「私の一曲」を見つけ出す~」

というもので、発表者は男性の音楽療法士のS氏、以下事例の要約です。

85歳の男性H氏。認知症があります。難聴ですが耳元での大きな声でコミュニケーションは可能だとのこと。H氏は音楽療法に消極的で硬い表情で会場の片隅に座っているだけという日々でした。そこで職員の方と共にリクエストという方法でH氏の好きな歌を一曲探し当て、ギターで個別の伴奏を行うとしたところ、「箱根八里」という1曲にたどりつき、H氏が歌うテンポやキーにギター伴奏を合わせていったところ、他の参加者や職員も驚くぐらいの声量で歌い上げ、H氏本人にも笑顔が見られました。「箱根八里」がH氏にとってどんな思い出があるのか聞く事は出来ませんでしたが、その人の「一曲」、つまりパーソナルソングを見つけることは音楽療法にとってとても重要な事だと、参加した講師の多くが感想を述べていました。