回想法

時が10年、20年と過ぎ去ると、誰でも良いことも嫌なことも記憶が薄れていきます。それでも何かのきっかけがあると、忘れていたことも思い出されることがあります。何かのきっかけとは人それぞれ違いますが、誰でも共通の思い出としては日常生活の中でも何かのきっかけで強く記憶されていることがあります。小学校時代の運動会、演奏などの行事、地域のお祭り、盆踊りなどの催し、親兄弟、近所の店、遊んだ友だち、家族の出来事などがあります。回想法は一般的には認知症の人が昨日、今日の短期の出来事を忘れてしまう、さっき食べたごはんをまだなにも食べていない、という事例があります。 今日、朝ごはんは何を食べましたか?の問いに「朝ごはんは食べていない」と答えてごはん、みそ汁、卵焼き、またはパン、牛乳などではなく、食べたことが記憶されないで抜けてしまうことがあります。新しい記憶が混乱していても昔のことはしっかり記憶されていることから、昔の出来事から興味ある話を引きだし、子ども頃鶏を飼っていたこと、水や野菜などをやって世話をしたこと、生みたての卵をごはんで食べたこと、などの話をすることで、記憶が蘇り、今日の朝ごはんを食べたこち、卵を食べたことも思い出してひと時、記憶の混乱はなく、落ち着いて安堵した表情になりました。